FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

1ー6

―――――――――――――――
1ー6

執務室を出た後、一旦更衣室に立ち寄り荷物を置いた二人は、再び迷路のような工厰内を歩き出した。

「さて…気を取り直して。次は明石さんのところね。あとは…そうね、天津風ちゃんにプレゼントもあるわよ。」
「…プレゼント、ですか?」
「行ってからのお楽しみ、よ。付いてきて。」
「は、はいっ。」

一体何だろう、なんて考えながら、夕張に続いて渡り廊下を通り、先程とは別の工場らしき建物へ入る。程なくして、廊下の曲がり角のところで夕張が足を止める。
通路の先を見ると、溶接工のエプロンを着けた長身の女性が仁王立ちしていた。

「お、やっと来ましたね、待ってましたよ。」
「あっ、すいません、明石さん。こちらから作業室の方に伺うつもりでしたのに…。」
「ああ、いいのいいの。気にしないで。私が待ちきれなかっただけだから。」

「こちら、横厰開発部主任の明石さん。一技戦の技術顧問も兼任しているわ。」
「工作艦、明石です。艤装のことで困ったことがあったら何でも言ってね。修理に調整に近代化改装、最優先でやってあげるからさ。」
「はいっ、ありがとうございます。」

「さて…と。早速本題に入りましょうか。付いて来て。あなたの新しい相棒を紹介します。」
「…相棒?」

首を傾げながら明石に続いて工厰の奥へと進むと、"開発室"と書かれた部屋に通された。
部屋に入ると、中央の作業台の上に天津風のよく知る物体が鎮座しているのが目に入った。
数々の激しい戦いを、天津風と共に潜り抜けてきた大切な相棒…――。

「私の艤装…! 治ったんですね!」

「…ふふ、単に治しただけじゃないですよ?」
「…?」

確かに、よく自分の艤装を見ると、少々形が以前と変わっている。
特に、大破前には第一砲塔があった場所には、代わりに大きな穴が空けられていた。丁度、砲塔のターレット位の太さの筒が、すっぽり収まりそうな大きさだ。

「あれ、砲は…?」
「…ふふん、まあまずは、これを見てください。」

したり顔でそう言いながら、明石さんが艤装の横に置かれていたそれのシートを勢いよく剥がす。

「これがあなたの新しい相棒。"14式甲型自律支援砲台システム・試製第壱号機"ですっ!」

――――――――――――――

明石が勢いよくシートを剥がすと、そこには、円柱状のパーツの上にちょこんと12.7cm連装砲が載っかった、奇妙な物体が置かれていた。
何より奇妙なのは、その連装砲には―――"顔"が付いていることだった。

「高度な学習型人工知能を搭載し、艦娘とは独立した制御系統を持ち独自に判断を行い行動。戦闘時の砲撃支援から、航行中の航法支援まで務めてくれる、我が工厰の技術を結集して製作した最新装備ですっ! どうです、凄いと思いませんかっ!? ねっ! ねぇっ!」
「はっ…はぃっ!?」

説明する明石の口調が次第に熱を帯び、天津風は思わず圧倒されてしまった。
物凄い早口だったので、説明もほとんど頭に入ってこなかった。

「はぁ、はぁ…、す、すいません…、つい興奮してしまって。」
「い、いえ…。大丈夫です。」

息も絶え絶えの明石。その様子を見かね、夕張が補足する。

「えーと…、これが今回、天津風ちゃんにわざわざウチに来てもらった理由ね。天津風ちゃんには、この新型砲台の運用テストをしばらくの間お願いしたいのよ。」

その間に息を整えた明石が、さらに説明する。

「これは現在開発中の新型駆逐艦へ搭載予定の兵装のプロトタイプなんです。現状ではまだ艤装へ固定されていますが、将来的には独立稼働して艦娘に随伴できるようになる予定です。」
「独立稼働? 初春型の装備みたいな物ですか?」
「はいっ、その通りですっ! この子は初期の初春型に搭載されていた"随伴機動砲台"のコンセプトを踏襲しています。…まあ、あの装備は問題だらけですぐに開発中止になっちゃいましたが…。あれはあれで、なかなか面白い試みだったんだけどなあ…。」

―――実験艦的な意味合いも強かった初期の初春型には、件の随伴機動砲台などの、前衛的な実験兵装が多く搭載されていた。
しかしこの装備、撃てば空中でひっくり返り墜落。照準は風の影響でぶれて弾は外れ、稼働時間も数十分しかない、という失敗作であった。
結局、後期生産型の初春型の設計は、再び従来の駆逐艦の艤装の設計を踏襲した手堅いものへと戻されることになるのだが…それはまた別の話である。

「…いけないいけない、話が逸れましたね。それでつまりこの子は将来的には、一緒に付いてきて自動で攻撃などのサポートをしてくれるようになる…、そうですね、忠実な番犬、と言ったら分かりやすいでしょうか。まあそれはまだ先の話で、現状の搭載AIの性能では火器管制だけで精一杯で、航行制御まではできないんですけどね。独立して行動できるようにするには、まだまだ課題が山積みで…―――おっと…。」

再び説明に熱が入りかけたが、今度は何とかセーブした明石であった。

「…そのために、天津風ちゃんに実際に運用してもらって、より実戦的なデーターを採りたいんです。よろしくお願いしますね。」
「了解です。が、頑張ります。」

「…では、早速起動してみましょうか。まず艤装を付けて貰えますか?」
「はいっ!」

――――――――――――――
スポンサーサイト

コメントの投稿

Secre

かうんたー
描いたもの:渋
描いたもの:二コ静
リンク
最新記事
カテゴリ
QRコード
QR
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
FC2プロフ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。