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1ー1

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[第一技術試験戦隊 活動報告]

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第一話:一技戦

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1ー1

自慢の長い髪が、吹き流しを模した髪飾りと共になびく。
吹き付ける、あたたかな春風が心地よい。

「いい風ね…!」

そう呟いた少女――職場では"天津風"と呼ばれている彼女は、海岸沿いを行く列車の車窓から顔を出し、風をいっぱいに感じていた。

―――彼女の仕事。それは、海を荒らし回る"深海棲艦"と呼ばれる怪物達と戦い、人々を護ること。

世間一般では、そんな彼女達のことを"艦娘"と呼んでいる。本来はもっと長ったらしい正式名称が存在するが、そちらを使う者はごく僅かだ。
その"艦娘"である天津風は、軍令部直々の異動命令を受け、汽車で移動中なのであった。

身体を車内へ戻して座席に座り直すと、頬づえを付き、ぼおっと景色を眺める。
ため息に似た呟きが、自然と口から漏れる。

「…横須賀、か。」

――――――――――――――

「転属…ですか!? 私が横須賀に!?」

士官室に天津風の声が響く。

「…ええ。既に決定事項、だそうです。…残念です。ようやく怪我も治って、天津風さんがまた隊に復帰できるものと思っていたのですが。」

神通さんが口惜しげに言う。

先日の戦闘で大破した私は、長期の療養を余儀なくされ、出撃のできない悶々とした日々を過ごしていた。
身体の方は治療のかいあって大分治ってきたものの、艤装側の損傷はそれ以上に酷く、その修復は新造と言っても差し支えのないものだった。
何しろ艤装の半分以上が爆発で吹っ飛んでいたのだ。轟沈しなかったのが奇跡だと後から言われた。
よってトラック泊地の設備では修復は不可能だということで、その修理は本土の海軍工厰に送り返され行われていた。

予定ではその修理がもうすぐ終わり、新品同様になった艤装がトラックへ輸送されてくるはずだったのだが…。

そこへ唐突に今回の転属話が降ってきたのである。

「…あの、転属の理由は?」

「あなたに軍令部から転属命令が出されたんです。」
「…軍令部から?」
「横須賀に、新しく兵装試験の為の艦隊が設立されるのだそうです。その隊に、あなたを是非とも迎え入れたいと。工厰直々の指名だそうです。」

「…兵装試験? どうして私が…?」
「…そこまでは解りません。ですが、あなたはこの二水戦で、これまで様々な困難な戦場を潜り抜けてきました。その事は、誇りに思って良いと思います。」
「大丈夫、あなたなら何処へ出しても恥ずかしくない、私の自慢の教え子ですから。」
「神通さん…。ありがとうございます。」
「横須賀に行っても、二水戦の名に恥じない働きを期待しています。…頑張ってね。天津風。」
「…はい! 今まで、お世話になりました!」

――――――――――――――

(次は横須賀~横須賀~降り口は…)

車掌のアナウンスが、天津風の思考をトラックから電車の中へと引き戻す。
窓の外には、視界いっぱいに軍港が広がり、港には数多くの艦艇が停泊しているのが見える。

私達のような駆逐艦娘が、普段の護衛任務にて根城としている艦娘搭載型護衛艦の他、はるばる南方から燃料を運んできたのであろう輸送艦、また、艦娘母艦――鎮守府艦などととも呼ばれる、ひと昔前の空母のような大型艦艇も何隻か見えた。
これだけ多くの艦が一同に会するというのは、横鎮と呉鎮くらいでしか見れない光景である。

―――横須賀鎮守府。
海軍の対深海棲艦、最大の拠点である。
前に天津風がいた二水戦では本土を遠く離れ、各地を転戦してきたこともあり、横須賀へ所属することになるのは本当に久しぶりだった。

到着前に最後にもう一度、天津風は異動の命令書を開き、自分が新たに所属することになる艦隊名を読み上げた。

「"第一技術試験戦隊"…。一体どんなとこなんだろ。」

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